大学発ベンチャーが世界企業に - 浜松ホトニクス型の成長パターンを他地域と比較する
大学の研究成果から生まれ世界企業に成長した浜松ホトニクスと、同じ成り立ちを持つ京都の計測機器メーカーを比較しながら、地方発ベンチャーの成長パターンを考えます。
「地方の大学発ベンチャー」というもう一つの成長パターン
浜松ホトニクスは、浜松高等工業学校(現・静岡大学工学部)の技術シーズから生まれた企業です。これは、スズキやヤマハ発動機のような「製造業の技術転用型」の成り立ちとは異なる、大学発ベンチャーとしての性格を持っています。
実は、こうした「地方都市の大学発ベンチャーが世界的なニッチトップ企業に育つ」というパターンは、浜松に限った話ではありません。京都で計測機器メーカーとして知られる島津製作所・堀場製作所も、よく似た系譜を持つ企業です。
共通する3つの特徴
- 大都市圏ではなく、独自の学術的土壌を持つ地方都市から生まれている: 東京一極集中とは異なる形で、地域の教育・研究機関が技術シーズの供給源になっている
- BtoB・研究開発型のニッチ分野で世界シェアを獲得している: 一般消費者向けではなく、医療機器や科学計測機器といった専門性の高い分野に特化している
- 単一の大きな市場ではなく、複数の専門分野に技術を横展開している: 浜松ホトニクスなら医療・素粒子物理学・半導体検査、京都の計測機器メーカーなら分析化学・環境計測など、用途の広さが事業の安定性につながっている
投資家としてこの視点をどう使うか
「地方都市発・大学発ベンチャー型」という切り口を持っておくと、有名な大企業だけでなく、特定分野で高いシェアを持つ地方発のニッチトップ企業に目を向けるきっかけになります。こうした企業は知名度こそ低くても、専門分野での技術的な参入障壁が高く、長期的に安定した収益基盤を持つ場合があります。
一方で、PER・PBRの記事で触れたように、研究開発型企業は高いPER・PBRで評価されやすく、将来の成長期待がすでに株価に織り込まれている場合も多い点には注意が必要です。「良い企業」と「割安な投資対象」は必ずしも一致しません。
まとめ
- 浜松ホトニクスと京都の計測機器メーカー(島津製作所・堀場製作所)は、いずれも地方都市の学術的土壌から生まれた大学発ベンチャー型企業という共通点を持つ
- 大都市圏ではなく地方都市の教育・研究機関が技術シーズの供給源になっている点が特徴
- BtoB・専門分野特化型のニッチトップ企業は、知名度は低くても高い参入障壁を持つ場合がある
- ただし、成長期待の高い企業は株価指標も高くなりやすく、「良い企業」と「割安な投資対象」は別の話である
- 本記事は企業の成り立ちを比較する読み物であり、投資判断は最新の決算情報等をご自身でご確認のうえ行ってください